2005年11月10日
理科総合への思い
こんにちは、予備校講師の田原です。
今回は、僕が理科総合について抱いている思いを書きますね。
僕は、かつて、大学院で物理学を専攻し、「自己組織化現象」というものを研究していました。
物理法則にしたがって、組織や秩序が生まれてくる現象のことを、自己組織化現象という
のですが、その中で、もっとも見事に自己組織化されるのが生物なんです。
ということで、最終的に、「複雑系の物理」の研究室に所属し、「理論生物学」を研究していま
した。
具体的には、細胞性粘菌という生物の形態形成の仕組みを研究していました。
この生物は、ライフサイクルの中で単細胞アメーバのときと、多細胞体(ナメクジみたいなやつ)
のときの両方の状態をとり、また、バクテリアを食べるときは動物細胞的であり、子実体を作って
胞子を飛ばすときは植物細胞的であり、とにかく、分類の三重点にいる生物なんです。
この生物をテーマに、生き物が一般的に自己というものをどのようにして作り上げていくのかを、
物理の立場から理解したいと思っていました。
ところが、高校で物理と化学を選択したため、生物に対する知識は、中学理科第2分野で
止まっているのです。
そこからスタートして、独学で生物を勉強して、論文を読めるようになるまでには、かなりの
時間と労力がかかりました。
論文を読むようになると、日本と外国との教育事情の違いが目に付くようになりました。
「理科系=物理と化学選択」というのは、日本の入試制度からきた特殊事情で、外国では、
必ずしもそうではありません。
例えば、アメリカには、Mathematical Biology という分野があって、これは、数学科に属し
ています。ここでは、コンピューターシュミレーションを駆使して、生物を研究しています。
本来、自然を理解するときに、物理、化学、生物、地学などと分けてしまうのはおかしいの
です。多面的に捉えたほうが正しく理解できるはずです。
理科系学生のほとんどが、生物を知らないという状況は、かなり歪んでいると思います。
このゆがみは、生物に関する諸問題(鳥インフルエンザ、環境ホルモンなど)が、社会に
与える影響が大きくなるにつれて、深刻化するような気がします。
もう少し、ベースになる知識を広く持っているほうがよいのではないかというのが、僕の
実感です。
理科総合についての活動は、僕が考える方向へ少しでも進んでほしいという気持ちで
行っています。
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